9作目・IFS・殺人鬼の住まう街

ここはとある国のとある街……といっても、もちろんこの街にだって堅苦しい正式名称はあったはずだ。しかしながら、この街の一風変わった点として、そんな礼儀正しく興味が無ければ誰もが忘れ去ってしまうような正式名称よりも『殺人鬼の住まう街』なんていう、物騒な名前の方が有名なことだろう。

この街には幾人かの殺人鬼が住んでるらしい。“らしい”というのは、彼ら“鬼”は大変警戒心が強くそして狡猾だ。故に、その正体は明るみへは出ない……。が、そんな噂は、この街の住人なら誰しもが知っている事実である。

これは、そんな殺人鬼たちの“平凡な”日常を描いた物語。歪んだ世界は、未だに12時の鐘を鳴らさない……。

・概要

・世界観

・登場人物

・相関図

・本編情報

和と洋が絶妙に混ざりあった不思議な文化を形成するとある街……。殺人鬼が住んでるなんて謳われるのにも関わらず、この街は不思議なくらいに治安が良かった。

何故ならば、彼らは平穏を装うことが得意だから。自らに正体がバレぬよう、平穏に溶け込むことに徹している。故に、“鬼”による殺人はほとんど明るみに出ない。

街と外部との出入りは、四方の橋だけ。おかげで人の出入りの監視はとても簡単だ。

街の東西南北へ向かって、十字に大通りが走っており、街の移動手段の凡そ4分の1を担う路面電車が走っている。

各区画は1~9の番地に区切られており、それぞれの番地で違った文化を形成しているらしい。

昼間になるとがらんともぬけの殻になる一番地。ここは住宅街だ。細い路地が交差し、申し訳程度に生活必需品を扱っている店やコンビニがある程度……。夜には皆寝静まり、昼夜問わず静かである。この番地の情勢は、ほら、今横切った黒猫が知っている程度で、不気味な程に正常だ。

人通りの多い二番地には、活気に満ちた飲食店が軒を連ねている。営業時間に訪れれば、食べ物に困ることは無いだろう。夜になれば酒類を扱っている店も多く、人通りが絶えることの無い賑やかな区画。

最先端のファッションや流行の中心地。若者が多く、賑やかと言うよりうるさい印象のある区画。夜通し騒ぐ者もいるが、基本的に日中の方が人通りが多い。

街の食料を担っている区画。ここでの収穫物は5番地に運ばれ、街中に届けられる。田畑ばかりで特に何もないが、秋になると一面の小麦畑を見渡すことが出来る。

水路が網目のように張り巡らされており、街の交通手段の4分の1である水路が主に使われている区画。三番地よりオシャレで落ち着いている印象がある。日中には露店が立ち並ぶが、夜になると一転して夜闇の中に静まり返る。

五番地の真ん中には時計塔があり、常に11:59を指し示している……

日中は観光客や休日を謳歌する人々で溢れかえり、夜になればネオンが彩る娯楽の区画。噂によればカジノさえもあるとかないとか……。娯楽に溺れ、酒に飲まれた者が道端に転がっていることもよくある、この街の中ではかなり治安が悪い。

街内の学問的施設を集めた区画。学校以外にも書店や図書館、喫茶店も多い。

海辺のリゾート地。娯楽の施設も商業施設も揃っているが、大半は漁師たちで賑わっている。

異形のものたちが暮らす地域。どこか異界や異国を思わせる、ほかの区画とは一風変わった様相の区画。観光に訪れるのは悪くないが、生きて帰れる保証はない。

第一話：To love is to suffer. To avoid suffering one must not love.

物語の始まり……。エルとユウの日常に描かれる、平凡でどこか歪んだ生活模様。

第二話：シャッターと雨音

アールを主軸において見渡す世界。淡々と流れていく不穏をお楽しみください。

第三話：未公開

公開をお待ちください。